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『5Gから身を守る』 著・古庄弘枝

 電磁波が人体や自然に与える被害の実態について講演活動を続けるノンフィクションライターが2月に出版した。5Gが自動運転車や工場で自動的にロボットが生産することを可能にするといった利便性ばかりが喧伝されるなかで、人体や自然や動植物へもたらす危険性、リスクについての基本的知識と世界的な動きを簡潔にまとめた一冊だ。

 

 2020年に商用サービスが始まった5G(第5世代移動通信システム)の最大の特徴は「高速・大容量」「超低遅延」「多数同時多接続」だ。「超高速・大容量」は、通信速度が4Gの100倍、データ容量が4Gの1000倍ということだが、具体的には「2時間の映画を3秒でダウンロード」というのが売り文句となっている。時代を遡って比較してみると、2G→40日以上、3G→約30時間、4G→約5分、5G→3秒で通信速度の早さは一目瞭然だ。

 

「昆虫の80%が失われた」

 

 だがその早さや利便性の裏側には何があるのか。「100㍍おきの基地局設置」や、自動運転車を走らせるために「邪魔となる樹木を何百万本も切り倒す」ということ、つまり人間の目先の利益や便利さのために、動植物の命を傷つけるのだ。すでにアマゾンの奥地でもヒマラヤの山頂でも携帯電話が繋がるように、過去20年で電磁放射線によって昆虫の80%が失われている可能性があり、「アリ」「鳥」「ミツバチ」「ネズミ」「野生生物」の奇形も出現しているとの報告もある。

 

 さらに5Gの電磁放射線は人間の人体(精子の劣化・自然流産・がんの増加・認識機能障害・循環器障害など)、次世代の命をも危険にさらすことが明らかとなっている。

 

 5G導入で問題とされているのが「ミリ波」だ。ミリ波とは波長が1~10㍉の電磁放射線。ミリ波の特徴は強い直進性があり、非常に大きな情報量を送ることができる反面、大気中の酸素や水蒸気に吸収されるため、近距離通信にしか利用できないというものだ。ミリ波を使う5Gでは、約100㍍おきに基地局が必要となるのはそのためで、政府は「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」(2019年6月閣議決定)のなかで、全国に設置されている約20万8000基の信号機を5Gの基地局として活用できるようにするとしている。

 

 もともと5Gの開発はアメリカ国防総省が冷戦時代に旧ソ連軍との電子戦争を想定して開発したもので、いわば「誘導性の電磁波武器」だと、国際政治経済学者の浜田和幸氏が発していることを紹介。サイバー攻撃・個人情報漏洩リスクなどの危険性も増すと指摘している。

 

地球の電磁環境に影響

 

「5Gはいらない」などのプラカードを掲げてデモをする人々(米ノースカロライナ州、2019年5月15日)

 さらに著者が警鐘を鳴らす内容として、5G用人工衛星が地球の電磁的環境を脅かすということ。5G用の人工衛星が米国と中国を中心に2万基以上も打ち上げられる予定で、これによって現在、軌道上を周回する通信衛星の数は10倍以上に増えることになる。これらの人工衛星は低軌道(高度2000㌔㍍以下)と中軌道(高度2000㌔㍍~3万6000㌔㍍未満)を周り、数千本のアンテナからミリ波を放つ。米国の研究者アーサー・ファースバーグ氏は、問題は「人工衛星が、大気圏の電気的特性に多大な影響を及ぼす地球磁気圏のなかに位置していること」と指摘し、地球上の電磁環境に変化を与えることは、地上の5Gアンテナから放たれる電磁放射線よりも、「生命にとっての脅威になりかねない」と指摘する。

 

 著者は、約37億年前、地球上に生物が誕生して以来、生物は「地球の脳波」といわれるシューマン共振波といわれる電磁放射線と共存してきたが、そのシューマン共振波を乱すような大量の5G用人工衛星の打ち上げは、「地球上に存在する全ての生命に対する犯罪的行為と言えるものではないか」と警鐘を鳴らしている。

 

知ることが力に

 

 人間の金もうけや利便性を優先させることが、地球規模で人間を含む生物の生命に危険を与える。そのことが明らかになるにつれ、世界36カ国180人の科学者と医師たちが「5G普及の一時停止を求める声明文」を発した。昨年12月にはアメリカの医師・科学者・エンジニアなど100人超が大統領あてに「5Gの一時停止」を求めた。今年1月には世界35カ国で5G導入停止を求めるデモがおこなわれ、日本でも昨年「5G問題を考える会」が発足し、直ちに停止するよう求めている。

 

 イタリアの区議会・イギリスの町議会など世界各国の自治体が、5G展開に反対決議をあげ、アメリカのカリフォルニア州のミルヴァレー市議会が「住宅地における新たな5G基地局の設置の禁止」をしたことなども報告している。

 

 「知ることは力です」というメッセージつきの、さまざまな資料も併載しており、「5Gとは何か、一人でも多くの人に知らせて『5Gストップ』の声をあげ、市町村で『住宅地には5Gアンテナを建てさせない』など、新たな条例をつくることが必要」と呼びかけている。5Gの基本的な情報が凝縮された一冊となっている。

 

 (鳥影社発行、定価500円+税)

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この記事へのコメント

  1. 小原伸子 says:

     貴紙で初めて、携帯電話の基地局の存在、それが発する強い電磁波放射線のことを知りました。
     それ以来、私は建物の上ばかり見るようになりました。乗り物の中からも、景色を楽しむより、基地局を探してしまいます。でも、探すことはないのです。至る所に建っているのですから、いやでも目に入ります。ただただびっくりし、恐ろしくなります。100メートルごとに設置し、街路樹の木も通信に邪魔だから切るって!?
     先日古庄先生の「携帯電話亡国論」の書評がありましたね。それをコピーして、友人たちに配りました。日本の電磁波規制値は、オーストリアのザルツブルク州より1000万倍も高いなんて! 世界一ビジネスをしやすい国にするためって、あまりにもひどいです。
     5G用の衛星まで飛ばすとは・・・。
     アメリカの人たちのように、私たちも「5Gはいらない」という運動を起こさないといけません。

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