いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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イラク戦争めぐる情勢語る 「強い米国」の権威が失墜 戦後日本支配の転換点に   

本紙記者座談会
 アメリカのはじめたイラクにたいする強盗戦争をめぐって、多くの人人のなかで、日本の戦後総括を重ねた歴史的な意識の転換がはじまっている。イラク戦争とその戦況の進行、その受けとめなどから今度の戦争の性質はなにか、この戦争が中東、世界の力関係にどんな変化をもたらすのか、被爆国・日本でアメリカへの怒りはあってもまだ大きな運動にならないのはなぜか、運動再建を展望して本紙記者で語りあった。

 平和ボケも吹き飛ぶ
 司会 イラク戦争について、どんな反応、意見が出ているか。
 A アメリカのイラク侵攻について「大義名分がない。力で独立国をつぶし石油はじめ、イラク、中東を支配するものだ」という見方はわりと多かった。しかし最初はアメリカが少し強く見えた形で、「すごく歯がゆいけれども恐ろしいことだ」というようないらだたしさを感じた。戦局が進展してイラク人民の民族的抵抗が強くなるなり、アメリカ軍が行きづまるなかでひじょうに活気づいてきた。アメリカべったりの小泉政府は「情けない、恥ずかしい」と、悔しさをこめて語られている。戦後のアメリカの日本占領支配、「民主化」で日本はどうなったかという問題意識が大きく動き出している。「自分さえよければいいと目前のちっぽけな幸せだけを求める」となっていたこと、「平和ボケを改めなければ」などと語られる。
 B 上関では年寄りが多いので戦争体験を語りはじめる。「畑に行き年寄りが集まれば戦争体験の話になるんだ」という。戦後58年たって日本社会も曲がり角にきたといういい方をする人もいる。「戦争を絶対にやってはいけない。でもこの戦争体験者の思いが若者に伝わっているのだろうか」と心配して戦争体験を語ってくる。原発もすでに52基つくってしまい狙われると、ほんとうに平和ボケが吹き飛ばされている。そのなかで戦後民主主義のなかで、自分だけの目前の利益を追求していくものがはびこり、しまいには原発で町を売りとばすことへの怒りと、農漁業をつぶすわけにはいかないとの思いが語られている。
 C 広島の被爆者は、「ノーウォー」と叫ぶ運動とは違って「アメリカは最初からあんな国だ」と見ているし、イラク戦争自体も「アメリカの侵略はそう簡単にはいかない」と見ている。それとあわせて戦後五八年のツケがいま出ていると語られる。とくに教育問題も「自分たちの思いを受けついでいない。年寄りを捨てていくような教育がされてきた」と論議になる。
 D 東京原爆展では、開戦直後には東京大空襲の経験などとあわせて「アメリカはまた同じことをやろうとしている」と、アメリカには怒っているのに「戦後アメリカが入ってきてよくなったんではないか」などの意見も出ていた。でもアメリカがイラク軍の抗戦で苦戦するようになると、「自分は安保斗争をたたかったがあれで負けたことが転機になった。それから現実主義でいくと思ってきたがまちがっていた」とか、「アメリカが来て日本は平和で民主主義でよくなったというがそれは言葉だけで実際は違う。もっと原爆展などを広げてほしい」などと語られはじめた。
 E 開戦段階では、全体に「むちゃする」というのと「力の誇示」という雰囲気があった。アメリカ自身が「衝撃と恐怖」の作戦といって全世界を脅しつける雰囲気があった。戦局がすすみはじめたらアメリカは予想外にもろい。それで「アメリカは弱いじゃないか」「アラブは強い」と喜んでいる。かつての中国革命やベトナム戦争がどうだったかがずいぶん語られはじめて、「人民はやはり強い」となってきた。ハイテク兵器を少少持っていても、「人民が団結すれば勝った」というのがよみがえってきている。

 袋だたきにあう米軍
 司会 イラクの戦局の進展から見てどうだろうか。
 A 米英らの武力行使容認決議が国連で多数で採択されない事態になり、米英は戦争をはじめた。CIA(米中央情報局)の情報でフセイン大統領と側近の殺害を狙った「斬首攻撃」を20日に開始したが、これはあてが外れた。また、トルコから南下する米軍とクウェートから北上する米軍とでバグダッドを挟撃する戦略だったが、トルコが米軍の駐留を認めなかったことからそれが破たんし南から攻めるしかなくなった。
 「衝撃と恐怖」の空爆で脅しつければ、軍中枢、主力軍が寝返る、クルド人とイスラム教シーア派が反乱を起こすと信じこんで、米軍は砂漠をいっきにバグダッドから80㌔のカルバラまで北進した。だが補給線は500㌔にのびきり、イラクのゲリラ戦で補給がまったくきかなくなって戦術転換をよぎなくされた。一時バグダッド侵攻を止めていくつかの補給路の要衝バスラ、ナシリヤ、ナジャフなどで、まずゲリラをつぶして北上しようとしたが、逆に米軍は疲労困憊(ぱい)、まともにメシも睡眠もとれず都市制圧ができずにこう着状態になっている。そうしたなかで、農民や民兵が旧式武器で米軍戦斗ヘリコプター・アパッチを撃墜する、自爆攻撃も起こるという状況が生まれる。外敵から祖国を守るというイラク人民の意志の固さに震えあがっているのが実際だと思う。
 C なにより「解放軍」として歓迎されると本気で考えて軍を侵攻させた。当初バスラに入り、記者会見をやり、イラク人を呼んで「解放軍万歳」というセレモニーも設定したというから、ばかにもほどがある。実際は解放軍どころか侵略軍として迎えられ袋だたきにあっている。だからバグダッドにも容易に近づけない。イラクは補給路をたたくが、最後はバグダッドの市街戦でせん滅する戦略を立てている。
 E ブッシュは「イラクの自由作戦」と呼び、独裁者からイラクの解放をするといっていた。これは宣伝用でそういっているのかと思っていたら本気だった。短期決戦で最初は2、3週間でかたをつけるといっていた。
 A それ自体がおめでたいことだが、実際アメリカは湾岸戦争からだけでもなにをやってきたのか。戦争そのもので五万人ぐらい殺したが、劣化ウラン弾を使い、その後遺症で何万という人が苦しんでいる。それだけでなく経済制裁でほぼ150万人の女、老人、子どもが殺されている。米英がイラク南北に勝手にもうけた「飛行禁止空域」では、3日をあげずに空爆し平和な住民を殺傷してきた。湾岸戦争で劣化ウラン弾を撃ちこんだのも南部で、バスラ近辺の子どもたちがいまも放射能障害に苦しんでいる。「解放軍」として迎えられるわけがない。ベトナム戦争の教訓も忘れ、中国革命も忘れているのだろうが、この十数年のイラクでやってきたことすら忘れ、自分たちが解放者として迎えられるというとんでもない思いあがりではじめた戦争だ。
 E ブッシュらが期待したのはシーア派とクルド人の反乱だった。かれらが立ち上がれば補給路が保たれるという読みもあったかもしれない。ところがシーア派の最高権威をもっている法学者グループが「米軍とたたかえ」という方向を出している。だからイラク総人口の60%を占めるシーア派の反乱は起こっていない。その中心地バスラでは、反乱どころかいまだに抵抗がつづいている。フセイン政府そのものもいろいろ問題はあるが内部矛盾だ。それにたいして外国が乗りこんでくると「反侵略」で一致する。中東全域がそうなってきた。そのへんでアメリカの思いあがりというかごう慢さはちょっと度はずれたものになっている。
 B これまでも歓迎されるつもりで戦争に突っこんでいった国はないだろう。
 E アメリカは湾岸戦争のときはけっこう慎重に行った。ベトナム戦争の教訓からいまの倍の兵を送りこんだ。しかもあのときはクウェートからイラク軍を追い出すだけだから狭いところの話だ。それを全イラクをその半分の人数で制圧するというのは相当の思いあがりだ。二極構造崩壊以後、世界を力のかぎり従わせてきてどうでもなるように思いこんでいる。「おごる平家は久しからず」といわれるが「むちゃをする」というのと「もうアメリカは終わりだ」と見られている。
 A それに湾岸戦争と比べて今度のアメリカの孤立ぶりだ。湾岸戦争のときはあれでも三四カ国が軍隊を出した。今回は米英主体でオーストラリアはわずか2000人だ。
 C いまイラクで苦戦を強いられ、10万の米軍を増派するとしているが、米本土からクウェートに着くのが四月末、そこから前線に行けるのは五月だ。いま前線の米兵は、昼は40度から50度になるが夜は寒い、それに砂嵐も吹く季節で、ばててしまっている。
 D 米兵らのなかでは、「一日一食しかない」「夜もいつ襲われるかわからんから眠られない」状態。たこつぼを掘って一人一人がうずくまっているが、泥雨でも降ればおおごとだ。精神的にも肉体的にももたない状態だ。
 A そんななかで、同士討ちも急増している。米軍が英軍の戦斗機を撃墜したり、米軍同士が戦車で撃ちあったりと、敵味方の識別もつかなくなっている。
 E 世界最高のハイテク兵器だといっても、兵隊が食えず寝れずばててしまったら役に立たない。精密兵器というのは無差別爆撃はやりにくい。最初から「精密兵器だから住民は殺さない」といっていたが、いまでは市場などに落としている。「わざと狙った」としかいえない。
 B イラク南部でも支援物資を届けなければならない。しかし、みんな支援物資を受けとると「サダム万歳」と叫ぶ。おまえらが破壊したんだから、ちゃんと出せという感じ。
 E 今度の戦争でみんな中国革命やベトナム戦争を思い出している。敵の大軍と正面衝突はしない。例のゲリラ戦をやって持久戦でせん滅していく。
 A 中国では日本軍もいけいけどんどんで大陸の奥地まで入ったまでよかったが、補給線が確保できなくなって負けた。都市と鉄道を押さえたというが、その鉄道もしょっちゅう爆破されて補給物資は届かない。それで都市すらも守られなくなった。
 E だから他国を侵略して占領するということはできないというのが第二次大戦の教訓だった。アメリカは「いやうちだったらできる」とベトナム戦争に突っこんで、こてんぱんにやられたことをきれいに忘れてしまった。道義的に侵略はいけないというだけではなく、負けるということだ。命がけで侵略反対で立ち上がっているところは、どんな軍事力をもってしてもうち負かすことはできないということだ。
 F アメリカの朝鮮戦争でもベトナム戦争でもそうだったが、いかに大量であれ爆弾だけで戦争の勝敗は決まらない。やはり勝敗を決するのは地上戦であり、人民や兵士の戦斗性だ。イラク戦争で、アメリカは精密誘導爆弾を自慢するが、バグダッドの市街戦をやらなければフセイン政府を倒すことはできない。そのとき米軍は、憎しみに燃える500万市民に囲まれ、ゲリラ戦でたたかれることになる。戦死者がぐんぐんふえるだろう。
 C そのときアメリカ本土は大騒ぎになる。「ブッシュはうちの息子の殺人者だ」と遺族が怒っている。あまり戦争する気がない兵士はすぐ終わるというから前線に来たが、砂漠の中で死ぬ思いをしないといけないと腹をたてている。あの司令部はなにかとなっている。そういう矛盾がうっ積していると思う。
  E 戦争でも人の要素が第一で、ハイテク崇拝がパンクしている。アメリカの株式市場も、短期で勝てるとハイテク兵器にのぼせあがって、株価を一時上げたが、具合が悪いぞとなって下がり出している。日本も1週間くらいで終わると思っている。すぐ勝つから、だから乗り遅れたらいけないと思って小泉政府もついていった。
 F ブッシュ政府は「戦わずして勝てるクリーンな戦争」といって、従軍記者を500人も入れて解放軍として迎えられるところを世界に流そうと思った。それが逆になってアメリカがやられているところが流されている。
 E アメリカは経済もバブルで崩壊したが、軍事もバブルだったということだ。頭がバブルになって現実の戦争をはじめている。だからその状態で戦争をすすめるならアメリカは相当の大破たんにおちいるのではないか。長期戦でバグダッドを包囲して兵糧攻めにしようという流れもある。しかし補給線が500㌔もあるのだからバグダッドを包囲するといっても容易じゃない。それにバグダッドは、あと半年食糧はもつといっている。しかも後方では人民が武装しているからゲリラ戦がつづくし、一般住民には食糧を与えないといけないしジレンマにおちいっている。「停戦したらどうか」という話が出て、ラムズフェルド国防長官がかんかんになって「ひっくり返すまでやる」とわめいている。
 A すぐに勝つつもりだったから、アメリカ企業が戦後復興の工事の入札までしていた。石油を抑えたら戦後復興は「石油でもうけた金でいくらでもやってあげます」というものだが、文字どおり「とらぬ狸の皮算用」だ。

 元気づくアラブ民族
 司会 国際的にはどういう影響が出ているだろうか。
 A アラブ民族が元気づいている。イラクへの攻撃はアラブ全体への攻撃だといって、民族の大義をかかげジハード(聖戦)が叫ばれはじめ、エジプト、ヨルダンなどの親米政府が突きあげられている。湾岸戦争のとき主力となったサウジアラビアでさえ基地を提供せず、今回のイラク攻撃は不法だといい出した。カタールやバーレーンなど小国に米軍は司令部や基地を置いているが、ほかに積極的に協力するところはない。アラブのなかで「アメリカは自分が気にくわなければ、われわれの同胞を殺しまくる。イスラエルと組んでフランスやロシアを排除して自分だけでアラブを支配しようとしている」という怒りが出てきている。アメリカに従っていたら中東全体がアメリカ単独支配でひどい目にあわされるとなっている。だからかりにイラクが負けても反米感情はかつてなく強まる。これまでアラブ諸国は親米も反米もいて矛盾があったのが、反米の方向でアラブ世界の再編が起こっていくことが予想される。
 また欧州との関係でも、フランスも最初は、戦争がはじまったら兵隊を出すといっていたが、いまではイラクが「かりに化学兵器を使っても出さない」と変わった。最初はもしアメリカが単独占領すれば自分たちの石油権益がなくなるから、兵隊を出してわけまえをもらおうと考えていた。しかしそれが戦況を見て、勝っても負けても「アメリカが打撃を受ける」と見るようになり、独仏露も攻撃反対の姿勢を保って、アメリカが苦戦しているのを見ても手を貸そうとしない。
 E アメリカは独仏を排除して単独で中東を支配しようと思っていた。だから国連での矛盾も意図的にあおって激化させた。そのなかで、トルコも米英軍への協力を断った。
 A トルコは九割以上の国民が攻撃反対だ。国会でも米軍進駐が否決され、領空通過しか認めなかった。トルコには、もしイラクが負けたらクルド人が独立の動きを強め、トルコが困るという事情もある
 E イラク戦争の現状からドルの凋落を見こして、EU(欧州連合)通貨のユーロで勢力が伸張できると見ている。
 A トルコはドイツの影響力が強いし米国ではなくEUの側をむいている。ドイツは「もしトルコ軍が参戦するのであれば、トルコに置いていたドイツ軍を撤退する」ともいってけん制している。イランはイラン・イラク戦争の恨みがあるから直接イラクに支援することはしない。湾岸戦争後のシーア派の反乱はイランと連携していたが、今回はそんなことはさせないようだ。それをやればつぎには「悪の枢軸」としてイラン自身がやられるためだ。
 G 「韓国」から米軍支援で部隊を派遣する法案も反対の声が強くて否決された。
 A アメリカが世界62カ国にイラク大使館を閉鎖して、大使を放逐しろと文書を送っているがほとんど従っていない。日本でさえもできない。従っているのはフィリピンだけだ。
 F アジア近辺でもほとんど協力していない。マレーシアを筆頭にインドネシアがそうだし、今回はアフガン戦争であれだけ協力したパキスタンですら協力しない。反テロで協力したところも今回はしていない。インドもやっていない。フィリピンだけ協力するのは「日本軍を追い出してアメリカが解放してくれた」という「解放軍」の流れが強いという特殊性も作用しているのではないか。
 A 中国もアメリカの顔色をうかがっているが、いずれ「最大の脅威」として攻められる関係にある。アメリカはすでに戦略の重点をアジアに移して、究極は中国をにらんでいる。だから中・ロも米軍がやられるのを眺めている。
 E 各国の民族解放斗争も激励されている。アフガンでもタリバンが元気づいている。もともとあそこはゲリラが得意だから、正面衝突はせず、すぐに人民のなかにとけこんでしまった。それが再結集しはじめている。
 B アメリカの経済的ダメージも大きい。戦費でも10万人増派するとなれば少少ではない。これはベトナム戦争を思い出させる事態だ。
 A いまアメリカの議会で決めた戦費支出が470億㌦余り、747億㌦の追加支出を要求しているが、2000億㌦はくだらないし、長期戦にでもなればもっとはね上がるだろう。
 E この間のアメリカのやり方は、グローバル化で世界を規制緩和、構造改革で、全部アメリカの経済の仕組みにとりこんで、金を巻きあげバブル経済をやった。しかし一昨年3月ごろから破たんして、アメリカに投資していたユーロが引き上げられドル売りがはじまっている。これまでは「戦時になればドル買い」だったが、いまは戦時になってもドルが売られる。ドル大暴落の気配だ。
 A 今後の世界はアメリカの一極支配が大きなダメージを受けて、中ロなどがいうところの「多極支配」が強まるのではないか。
 E アメリカの宣伝する「解放軍」というのは第二次世界大戦を想起させるが、その「アメリカが解放軍」という宣伝の効き目がいまではなくなっている。もともと「アメリカが反ファッショの解放軍」と宣伝したのは修正主義だ。だがその修正主義が「社会主義崩壊」で権威をなくしたから、「アメリカは解放軍」とだましてくれるものがいなくなった。
 F イスラム世界ではそんな修正主義的なものがないからストレートに反米で立ち上がっている。

 国益を放棄する小泉
 司会 日本の対応はどうだろうか。
 G 小泉は最初、アメリカのいう短期決着を信じこんで、イラク復興支援法を真先に決めるといっていた。さんざん米軍が破壊したあとを鎮圧するのだから相当危険だが、それを自衛隊にさせるものだ。しかし戦況が長引き出すと今度は有事法制を先にやるといい出した。四月中にも有事法をとおして五月ごろイラク復興支援新法をつくる日程だ。イラク復興支援新法にはイラク駐留の多国籍軍の物資輸送、食糧・燃料補給が第一任務。それはバグダッドまで500㌔ものびた補給線を自衛隊や民間人にさせようというものだ。でもいまの戦況では、派遣命令を拒否するものも出かねない。だから最初に有事法制をとおしておけば「たとえ拒否されても強制的に戦争動員できる」というものだ。3月30日に「難民のテントを運ぶ」とヨルダンにむけて空自の政府専用機も派遣したが、難民はあまりいない。これには護衛用の短銃を携行した空自隊員60人が乗っているし、どうにかして自衛隊をアメリカの戦争に参戦させようとしている。
 E アメリカの「大本営発表」に従っているだけだから、イラク戦争の大義名分や自衛隊派兵の理由について質問されても、小泉自身がしどろもどろで説明できない。
 F しかも小泉は「北朝鮮が攻めてくる」といってイージス艦を日本海側に集結させたり、軍事偵察衛星を打ち上げたりして、朝鮮への軍事挑発をくり返している。自衛隊にトマホークの導入を検討している。小泉は「アメリカが北朝鮮の脅威から守ってくれる」といってイラク戦争にも自衛隊を派兵しようとしている。貧乏な朝鮮が日本を攻める意志も力もないことは明らかであり、むしろ国交回復したがっているものを突き放し、戦争放火をしたがっているのはアメリカの意に従うだけの小泉政府の方だ。このアメリカのための戦争が、日本の利益にならないし、アジアでも世界でも孤児にしてしまうことは明らかだ。
 A アメリカのイラク戦争もどこの国も手を差しのべないのに、小泉だけがやっきとなって「有事法やイラク復興支援法ができるのを待っていては間にあわない」といい、現行法でも自衛隊参戦を可能にしようとしている。
 F 「いったいおまえはナニ人か。アメリカ人か?」と怒りが出され、情けないと語られている。先日決まった今年度予算でも、戦局との関係で米軍を支援する態勢だからアメリカ次第だ。
 E 小泉政府は世界最大の従属国の姿を暴露している。「敗戦国だから」というが、同じ敗戦国でもドイツの態度と違う。ドイツは戦後、連合国の共同支配となるが、日本はアメリカの単独占領だった。日本の学者や政治家、労組幹部などがアメリカ留学をして、アメリカを手本にしてきた。アメリカが日本をイラク占領のモデルにしていることは国内でも意識の転換を促している。

 イラク占領は日本がモデル
 F 知識人の意識が動きはじめた。「植民地だったことをハッキリさせないといけない」と反省をこめて語られている。イラク占領を日本をモデルでやるところまできて、「原爆投下がなんだったのか」と考えると同時に、「自分自身がアメリカの植民地だという認識になかった」と出されている。ジャーナリストも中東に行くと、「日本はいつ立ち上がるのか」「原爆でアメリカにむちゃをされていいなりになっているのが理解できない」といわれる。それをこれまでは「中東の見方」と割り切っていたが、「国際的には“日本はカイライ政権だ”と見られているのに、そういう認識ではなかった自分たちの認識はなんだったのか」と問題意識が出はじめている。
 ある大学教授は「大学の学術関係で見てもアメリカ化に成功した。その意味でフルブライト財団が大きな役割をはたした。問題はそういうことについて、日本のなかから“植民地”ということが出てこないといけない」と語った。全共斗世代で70年「安保」斗争をたたかった経験もある高樹のぶ子という作家は、「これまでアメリカを美しく見ていた。その根底から考えないとイラク戦争反対とかかわってほんとうにはむきあえないのではないかと思う」と語っている。
 A 本多勝一も「戦後の戦争を見ると、すべてアメリカがかかわっている。そこから第二次世界大戦を見ると、反ファシズムの正義の戦争と解放戦争と思っていたがそこにメスを入れないと解明できない」と語っている。
 F 戦後アメリカの占領方式、侵略戦争、軍事介入がすべて失敗し、大きく第二次世界大戦まで回帰したように見える。日米の日本占領研究者の声明もあったが、アメリカが日本占領をモデルにするとか原爆投下を口にしていることとかかわり、日本占領を体験した側から、国際的な役割を考えるべきだ、と出ている。
 E 第二次大戦のアメリカの参戦目的が俎(そ)上にのぼってきた。それは「反ファシズムの平和勢力」ではなかった。戦後の日本占領は、日本を植民地にし、アメリカの国益のための戦争基地にするためだった。その到達が小泉が「アメリカのポチ」といわれる状態だ。大衆のなかで「政治から経済から文化、教育も日本はデタラメになった」というのがうっ積している。
 A 最近「平和ボケだった」という話をよく聞く。若い世代もそうだが戦争体験者も「平和ボケだった」と語りはじめている。「わしらは苦労してきた。だからもう子どもらには語りたくないと思ってきたが、それがまちがいだった」と体験を語ってこなかった反省が出ている。「なんで日本では斗争が起きないのか」とも語られる。
 G ある酒屋店主は自分が東京大空襲を受けたからイラクの人の気持ちがよくわかると語り出し、戦後の規制緩和などアメリカ支配への怒りを語っていた。戦争体験者が語る戦争体験の内容も自分が空襲を受けて苦しかったとかだけでなく、第二次大戦はなんだったのか、戦後の苦労はなんだったのかということとも重ねて、いまの日本の現状と今後日本をどうつくっていくのかという側から語られている。どうしなければならないのかと考えている。

 米国を「解放軍」規定
 E 第二次世界大戦の性質を、「反ファッショ戦争」といってきたのは、国際共産主義運動の修正主義潮流だ。それも日本で典型的にやってきた。「ファシズムが好戦的で、米英仏は平和だ」という流れだ。日本の戦後の共産党中央部が「アメリカ占領軍は解放軍」とみなしたことは、今日までつながって、ひじょうに大きな問題だった。
 F 共産党の獄中18年組などは個別に呼ばれて、「アメリカに感謝するかどうか」つめられている。徳田球一や志賀義雄などを先頭にGHQの前に行って「マッカーサー元帥万歳」と叫んでいる。
 E レッドパージでも党員名簿をアメリカに渡して、下部党員がレッドパージをやられた。そのなかで突破したのがアメリカの原爆投下の犯罪を正面から暴露した五〇年八・六平和斗争だった。
 A たんなる日本の共産党だけの問題ではない。国際的に反ファシズム戦争の勝利とした。そして中国共産党内でも戦後、劉少奇らが「平和と民主主義の新段階」をとなえ蒋介石の国民党と政府・軍隊もいっしょになったらいいといった。
 E アメリカは第二次世界大戦以後、世界的に「解放軍」あつかいされた。その思いが忘れられない。
 A フランスやイタリアの共産党が指導してナチス・ドイツをレジスタンスで破ったが、ここも戦後は武器を全部ブルジョア政府に差し出して、議会に何百議席と、いくつかの大臣ポストをもらって喜んでしまった。
 E 世界の労働運動もアメリカ型でILO(国際労働機関)などを使って「民主化」した。「安保」後に巻き返しがひじょうに進展した。フルブライト財団をつくってアメリカに留学させる仕組みもつくった。三田村労研は「生産性向上」でアメリカ仕こみだったが、労組幹部や大学教授もほとんどアメリカに呼ばれている。医療ももともとはドイツが基準でカルテもドイツ語だった。それがいまではなにもかもアメリカがモデルだ。
 A そこの歴史的な転換がはじまってきた。いまや「解放軍」とはやしたててくれる人がいないからアメリカは自分だけで「解放軍」といっている。

 重要な日本の運動
 E このなかで原水禁運動の再建課題は世界的にも大きい意義がある。アメリカの第二次大戦の参戦目的、戦後の日本支配はなんであったかを暴露し、日本の運動を刷新することはひじょうに大きな位置を占めているし、歴史的飛躍の時期にきている。
 A イラクやアラブ人民が「なんで広島、長崎を忘れたのか」ということと連帯していける素地がある。
 E 日本では「安保」や基地強化は段階を画してすすんでいる。アメリカの戦争はグローバル化推進の戦争だし、市場経済に対応した政治形態として「自由、民主、人権」だ。日本人民が戦後の全生活の総括のなかから大きな飛躍をするときにきているのではないか。
 A この十数年アメリカは軍事力をバックにグローバル化をしてきたがバブル崩壊で破たんする。グローバル化に抵抗する力はイスラム世界、アラブ世界が強かった。これをぶちめぐことがイラク戦争だ。アメリカが単独支配するためグローバル化に反対する勢力を戦争によってぶち壊し市場経済化すなわちアメリカ化しようとしている。
 E 日本では民族独立は時代遅れとされ、そんなことをいわない方が「近代的で進歩的」と描かれた。そして反米愛国というと反動のようにされた。そしてとくに「革新勢力」にアメリカを崇拝し「自分さえよければいい」という考えがはびこった。社会的な利益を第一に考え、個人の利益はそれに従属するのでなくては、戦争を阻止し、平和で豊かな社会をつくることはできない。
 司会 ではこのへんで終わりたい。

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