いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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岩国・愛宕山問題 基地撤去・独立の全国的課題

     米軍再編・愛宕山の米軍住宅化に反対し、平和と独立を求める岩国市民のたたかいが一層熱を帯びている。愛宕山を守る市民連絡協議会(岡村寛代表世話人)は3月25日、岩国市役所と県庁を訪れ、愛宕山の米軍住宅化に反対する署名が10万3341人分集まったことを報告した。4月7日には、段ボール箱7箱分に及ぶ署名簿を浜田靖一防衛大臣に提出する。更に、4月12日には愛宕山で5000人規模の市民集会をおこなう準備も進めている。
 連絡協議会が米軍住宅化反対の署名を開始したのは昨年12月で、署名簿はあっという間に全市内に広がった。それと同時に、愛宕山周辺には「愛宕山に米軍住宅はいりません」と記された幟500本が掲げられた。
 当初、署名は愛宕山周辺の自治会関係者を中心に取り組まれていた。しかし「単に愛宕山周辺だけの問題ではない」「岩国全体の問題として全市的に訴えるべきだ」との声が広がった。さらに「岩国の問題は日本全体の問題」と、全県、全国へも広がっていった。結果的には約3カ月という短期間で岩国市内5万人、全県、全国を合わせると10万人を突破するという予想以上の反響となっている。
 その過程では、福田市長と二井知事が、圧倒的な米軍住宅化反対世論に突き上げられた形で、「米軍住宅用地としては売らない」と初めて明言する事態も起きた。しかし、愛宕山開発跡地については「赤字解消」を目的にあくまでも「米軍住宅の最有力候補地」とする国に買い取りを求めるとしている。基本姿勢としては、国が跡地を「白地」として買い取った後に米軍住宅の建設を進めるなら、「スポーツ施設など米軍施設でも市民が供用できるなら(米軍住宅もかまわない)」などともいっている。
 また国が、米軍基地内での民間空港再開の方針を正式にうち出した。この民間空港再開は当初から「愛宕山を米軍住宅として提供する見返り」の一点に絞った位置付けをしており、アメリカへの売り飛ばしへのハッパとなっている。
 この間、一連の岩国基地を巡る問題の特徴としては、全てがだましと財政的圧力、経済制裁によってごり押しされてきたことが挙げられる。市民の安心・安全のためとうたわれた「沖合移設」には、基地の大拡張、そして艦載機部隊の移転をもって極東最大の米軍基地化という二重のカラクリが施されていた。更には、空母も接岸できる岸壁も完備した一大軍港化としての姿も浮かび上がっている。そして、埋め立て用の土砂採取がおこなわれた愛宕山に誕生するとされていた「21世紀型多機能都市」はいまや、米兵とその家族4000人が住む米軍特区へとってかわろうというのである。とことんまで市民をだましてアメリカに売り飛ばそうという極めて売国的な意図の下で進められてきた。
 しかし国や県、市がどのような手段を講じても、現在の岩国市内では、「これ以上は何といおうがだまされない」「岩国全体がアメリカ村にされてしまう」「岩国だけでなく、日本中が乗っ取られてしまう」「何としてもここではねつけないといけない」と語り合われている。
 また岩国市民のたたかいは、国の存亡に関わる重大な問題として全国から注目を集めているが、被爆地である広島湾岸一帯としてはとくに「他人事では済まされない」として共感を呼んでいる。
 厚木から空母艦載機と同時に移転される、夜間離発着訓練(NLP)についてはまだ移転先が決まっていない。NLPは出撃前の戦斗機が、空母の甲板に見立てた滑走路で急降下、急上昇(タッチアンドゴー)をくり返す実戦さながらの危険な訓練。05年の日米間最終協議により、実施場所の選定期限は今年7月までと迫っている。07年には鹿児島の馬毛島の所有者が誘致を表明して問題となったが、岩国基地から半径180㌔圏内という構想からは圏外にあたる。米軍からすれば近ければ近いほどいいわけで狙い目は必然的に広島湾岸一帯に絞られてくる。以前NLP誘致の動きがあった大黒神島などは、現在でも有力な候補地と見られている。ただ、米軍はあくまでも岩国での実施を主張している。
 米軍基地内では電気、ガス、水道などの使いっぱなしは、日常茶飯事となっている。最近では、9・11以来強化されてきたテロ対策の一環でフェンス沿いに大量の街灯が設置され、一晩中明明と灯がともされている。更に基地内には次次と新しい施設が姿をあらわし、既存の建物は化粧直しも頻繁におこなわれている。これらの設置に関わる費用、莫大な光熱水道代などもすべて「思いやり予算」・日本国民の血税で賄われている。

 岩国基地増強の経過 国によるぺテンの連続
 岩国における米軍基地の増強は、国によるペテンに次ぐペテンの連続で、市民をだまし、市を意図的に借金まみれにして、受け入れさせようというものであった。はじめは70年代に、米軍のファントム機が九州大学に墜落した事件を契機に、安全と騒音軽減のための沖合移設といっていた。愛宕山開発は都市開発すると称してはじめ、基地沖合拡張のための土砂採取をやった。しかし跡地は都市開発のめどはなく、借金だけ市にかぶせて、米軍住宅として買い上げようというのである。
 基地沖合移設と称してあらわれた姿は、滑走路2本態勢で、空母が接岸できる岸壁まで整備し、厚木で追い出された空母艦載機部隊を移転、戦斗機も米兵人員もこれまでの倍増というものであった。さらに米軍は空母2隻態勢といっており、併設した巨大な軍港に空母が入る可能性も予測されている。こうして岩国を嘉手納基地に相当する巨大核攻撃基地にするというものであった。米軍と政府は、このような基地の増強という計画をあらかじめ持ちながら、岩国市民をだましに次ぐだましで、ペテンにかけてきたのである。
 この基地はアジアから中東に至る地域をカバーする核攻撃基地である。これが日本の安全を守るためのものではないことは岩国市民が戦後の全体験を通じて身にしみて知っていることである。米軍のために、降伏が明らかな8月14日に岩国空襲をやり、千数百人を無惨に殺した。戦後の岩国市民の全生活は、米軍が日本人を守るどころか、日夜米兵を警戒して暮らしてきた歴史である。女性をもてあそんで惨殺した事件は数知れず、老人を橋の上から投げ込んだ事件もあった。米軍は日本を基地として、朝鮮、ベトナム、イラクなどで数知れぬ人殺しをしてきたが、日本人を守る軍隊などではないのだ。
 9・11テロ事件のあとは、自衛隊や警察をも動員して、米兵が市民に銃口を向けて警備した。米軍のヘリコプターが空の上から市民を追いかけ回して警備するというものだった。日本人から米軍を守っている姿である。基地では米兵と家族の国外避難訓練をくり返している。基地に日本の税金で建てている米兵住宅は、1戸6000万円ほどかけて、核攻撃を想定した頑丈なものと見られている。核攻撃に対する核報復攻撃を想定しているのである。明らかにアメリカ防衛のために日本を原水爆戦争の火の海にするという、屈辱的な計画である。
 米軍が日本に配備しているレーダー群もミサイルもアメリカ本土に向かうミサイルに対応するだけで、日本に飛来するミサイルには対応していない。日本にいる米軍が、日本を守るためのものなどではなく、日本を盾にしてアメリカを守るためのものであるという厳然たる事実である。
 ブッシュ政府が自衛隊の航空部隊と地上部隊をイラクに派遣させたのにつづいて、オバマ政府は自衛艦のソマリア派遣をやらせたり、アフガンへの地上部隊の派遣を要求している。アメリカの国益のための戦争で、日本を核攻撃の盾にするとともに、日本の若者を肉弾として差し出させようとしている。第2次大戦で米軍内部では「日本人は人間ではなく、サルか虫けらと思って殺して殺して殺しまくれ」と檄を飛ばしていた。現在も同じといわざるをえない。

 被爆地広島も冒涜日本占領支 配する縮図
 岩国は被爆地広島に隣接する地域である。岩国を飛び立った戦斗機は広島の上空をわがもの顔に飛び回っている。原爆で20数万人が殺された広島湾岸一帯を一大核攻撃基地とするのは、原爆で死んだ人人、被爆で苦しんできた人人に対するこのうえない冒涜である。
 米軍部隊が倍増し、愛宕山地区を米兵住宅として占拠するなら、岩国市民はますます岩国の片隅に追いやられることになる。ますます岩国をアメリカ村として差し出すことになる。岩国の売り飛ばしである。それは日本全体を売り飛ばす売国政治の縮図である。
 米軍は岩国市の町のど真ん中である川下デルタ地帯を占拠して、町の発展を阻害してきた。米軍機の邪魔というので煙突の高さ制限があり、工場がよそへ逃げたり、豊かな漁場は埋め立てられ、制限されてきた。国は、「基地交付金による繁栄」と叫んできたが、1部の利権集団がいいことをしてきただけであった。基地だらけの沖縄は全国1の貧乏県であり、岩国も同じであった。
 米軍岩国基地の増強の問題は、岩国市民の生活環境の問題だけではない。岩国の現実はアメリカの植民地的な隷属のもとにある日本全体の縮図である。
 小泉自民党政府の構造改革なるものは、すべてアメリカの指図で、アメリカの都合の良いようにやってきた。それは日本の資金を国内には回らないようにしてアメリカに注ぎ込み、一握りの金融投機師どもが巨大詐欺で儲けに儲け、国民経済をさんざんに破壊した。国際競争力がすべてといって、農業や漁業は切って捨て、世界が食料危機を深めるなかで食料自給能力を破壊してきた。そして労働規制の緩和で、働いても食えないワーキングプア、将来展望のない不安定雇用にし、労働力の再生産もできない貧困社会をつくった。教育や医療、老人介護など社会的な保障を切って捨て、日本社会をガタガタに崩壊させた。
 教育もわざとバカをつくるような改悪をつづけ、人材の面から日本の国力を衰退させる政策をつづけてきた。
 日本社会全体がアメリカの植民地という実態を暴露するものとなっている。
 このようなアメリカによる植民地的支配は、第2次大戦という戦争によってつくられたものであり、米軍基地とくに核兵器という軍事力による支配を根幹にしてやられている。
 労働者をはじめすべての日本人民の生活の繁栄の問題も、オール与党化のもとでの聞く耳のない自民党政府の暴走政治による民主主義の破壊も、そして平和の問題も、独立の問題と深く関わっている。
 岩国市内では「アメリカとの関係を断ち切るには今が最大のチャンス」「戦後60余年、アメリカから独立する時期が来ている」と市民世論が沸騰している。それは全国的にも共通するものとなっている。世界的に経済恐慌の影響も深まるなか、とことんまでアメリカに従属し植民地的な破たんにさらされるのか、それとも独立に向かうのか重要な別れ目となっている。
 岩国市民がたたかっている愛宕山の米軍住宅化阻止・空母艦載機移転阻止・米軍再編に反対する課題は、日本全体の独立、平和、繁栄、民主主義、人民的民族的な文化の擁護の課題である。労働者、農漁民、中小商工業者、あらゆる勤労人民にとって、さまざまな生活要求の根源である、日米安保体制、対米従属とたたかう課題で、全国的な連帯を広げた一大政治斗争に向けて前進する必要がある。岩国市民のたたかいとともに、山口県全県、広島県、そして全国を結んだ共通の敵に対する共同の斗争を発展させることが必要となっている。

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