いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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8・6広島集会に大結集を アメリカは核基地撤去せよ

 広島・長崎に原爆が投下されて67年目の夏を迎えた。原子雲の下での忌まわしい体験を決して消し去ることはできず、史上もっとも残虐な殺りくへの怒りは民族の怒りとなってつのるばかりである。アメリカに原爆投下の謝罪と核基地の撤去を求め、日本とアジアを核の戦場にさせぬという国民世論は、かつてなく高まっている。朝鮮戦争下、峠三吉が活動した時期の全国民的な基盤を持つ運動を継承する原水爆禁止広島集会(主催・原水爆禁止全国実行委員会)を頂点とする8・6広島行動に向けて、全国各地でとりくみに拍車がかけられている。広島を代表する平和勢力の行動に、広島・長崎の被爆市民はもとより、平和を願う全国、全世界の人人から熱い期待がかけられている。
 今年の8・六6行動は、オバマ政府が1月の「国防報告」で軍事戦略を「アジア重視」に転換し日本全土を中国との戦争を想定したアメリカの核戦争の盾にする策動が露骨になり、野田政府がアメリカのいいなりになってオスプレイの配備を強行し、原発再稼働、消費税増税、TPP参加へと突っ走る一方で、日本の独立と平和、繁栄を求める国民世論がかつてない高まりを見せるなかで展開される。
 この間、「日本の現状をもたらした第2次世界大戦の真実を伝える――原爆と戦争展」が全国各地のすみずみで開催されてきた。また、原爆展運動10年を記録した劇団はぐるま座の『峠三吉・原爆展物語』が各地で公演されてきた。さらに、このとりくみと結びつけて、「アメリカ政府に原爆投下の謝罪を要求し、原水爆の製造・貯蔵・使用の禁止、核基地の撤去、すべての原発の廃止を訴える」署名とカンパ活動が職場や街頭で、あるいは各家庭を訪問する形でくり広げられ、広範な人人の原水爆禁止への深い思いを束ねてきた。
 そこでは、「原爆投下が今の貧困と失業、戦争にむかうとんでもない社会をもたらした」など、第2次世界大戦と現在を直結してとらえ、戦後のアメリカによる植民地支配からの脱却を求め、安保斗争のような全国的政治斗争が今こそ必要だという論議が熱を帯びて発展してきた。また広島・長崎の被爆市民の本当の声を代表し、私心なく奮斗する平和勢力の登場に熱い感動と期待が寄せられ、若い世代の行動を促している。
 広島、長崎の被爆市民のなかで、命ある限り語り継がねばならないという思いは募り、原子野から復興してきた郷土を再び焦土と化す策動を許さぬ思いがほとばしるように出されている。第2次世界大戦の真実にふれ、被爆者、戦争体験者の思いと行動に心をうたれた青年学生、教師・知識人、子どもたちの真剣な態度と行動への意欲は、これまでになく強いものとなっている。広島平和公園で定期的に原爆と戦争展キャラバン隊など、原爆と戦争展のスタッフを担ってきた学生たちは、みずからの生き方とかかわって確信を深めている。
 沖縄では『原爆展物語』公演、原爆と戦争展が各地で連続的におこなわれるなかで、基地の「県外移設」を叫んで本土との対立を煽る欺まんが剥がれ、「アメリカは核も基地も持って帰れ」の世論が圧倒し、辺野古の基地建設や普天間へのオスプレイ配備をはねつける力を築いてきた。また、1950年代から復帰斗争をたたかってきた世代から、若い世代に、沖縄と本土が一致団結して独立の課題を鮮明にし、基地撤去斗争をたたかう方向を継承する機運がいちだんと強まっている。
 それは同じように、厚木空母艦載機移転に反対し、普天間海兵隊の移駐、オスプレイの搬入に断固として反対する岩国市民の根強い世論と響きあい、沖縄と本土の連帯した核基地撤去のたたかいへと発展するすう勢を生み出している。
 石原東京都知事や野田首相がとなえ、メディアが後押しする「尖閣諸島購入・国有」騒ぎは、アジア人同士をたたかわせ、日本を核ミサイルの標的にしようとするアメリカの尻馬にのったものである。それは、アジア諸国と敵対ではなく友好を求める大多数の国民から総スカンを食っている。
 首相官邸前で毎週くり広げられている十数万のデモの波は、被害者面して文句をいうだけの古い平和運動の枠をうち破って波及しており、急速に高まり発展する独立と平和、繁栄を求める全国の大衆的世論と呼応しあったものである。
 このような情勢の進展にこたえて、8・6を頂点とした広島行動に、平和と独立を願う広範な人人を、世代をこえて大きく結集することに、強い期待が寄せられている。
 8月に入って、広島では次のような行動が展開される。
 第11回広島「原爆と戦争展」が1日(水)から7日(火)まで、広島産業会館(西展示館第3展示場、南区比治山本町)で開催される。5日(日)午後4時から、全国の被爆者、平和愛好者による交流会がおこなわれる。
 平和公園では、7月は毎週土曜・日曜、8月は1日(水)から6日(月)まで毎日、毎年恒例となった青年学生が主体となった原爆展全国キャラバン隊による「原爆と戦争展」の街頭展示が、原爆の子の像横で開かれる。
 劇団はぐるま座の『峠三吉・原爆展物語』の広島公演が4日(土)、広島県民文化センター(中区大手町)で昼夜2回開催される。昼の部は午後2時から、夜の部は午後6時半から開演。
 8月五5、6日には山口県の小中高生平和の旅が広島で行動する。5日午後1時から、平和公園で結団式をおこない被爆者から学ぶ。6日午前10時から原爆の子の像の前で平和集会をおこなう。
 8月4、5、6の3日間、広島市内で広島の被爆市民の本当の声を訴える複数の宣伝カーによる宣伝活動がおこなわれ、全国、海外から訪れた人人にアピールする。
 8月6日にはこれら一連の行動を総結集して、原水爆禁止広島集会が午後2時から広島県民文化センター(中区大手町)で開催される。集会には、戦争体験者から子どもたちまで世代を超えて参加し、広島、長崎、下関の被爆者の発言をはじめ、沖縄、岩国の基地撤去のたたかいの報告、峠三吉の詩の朗読、小中高生の構成詩などが計画されており、新しい広島アピールを採択。集会後、市内をデモ行進して、広島の被爆市民の声を訴える。
 毎年の広島行動は広島市民がもっとも共感を寄せる運動となり、最大の平和勢力としての存在感を持ってきた。今年は、広島市民はもとより、長崎、沖縄、下関・山口県をはじめ全国の被爆者、戦争体験者、これからの運動を担う現役世代、青年学生の多くの参加による大交流が実現し、全国的に団結した新鮮な運動を強め広げる場となることは疑いないものとなっている。

 アメリカ政府に原爆投下の謝罪を要求し、原水爆の製造・貯蔵・使用の禁止、
 核基地の撤去、 原発の廃止を訴える署名


 広島、長崎に原爆を投下したアメリカの行為は、人類への許しがたい犯罪であり、アメリカ政府に謝罪を要求する。人類史上もっとも凶悪な無差別殺人兵器である原爆をまともに人間の頭上に投げつけたのはアメリカだけである。そのアメリカは今なお謝罪しないばかりか、逆に「正義のためであった」と開き直ったまま、高性能核兵器の開発、実験をくり返し、原爆の先制使用を叫んで、中東でアジアで緊張をつくり出している。アメリカ政府がすべての国に先んじて原水爆を禁止しなければ世界中の核兵器は廃絶することはできない。
 アメリカ政府に日本からすべての核兵器を撤去するよう要求する。許しがたいことは、アメリカが、原爆を投げつけた日本を原水爆攻撃基地として増強し、中国、朝鮮に対する原水爆戦争の盾にしようとしていることである。日本全土で米軍核基地を再編強化し、自衛隊を下請軍隊にして戦争に動員することを黙って見ていることはできない。岩国基地に空母艦載機を移駐させ、広島湾を原水爆攻撃基地として増強することは被爆地に対するこのうえない冒涜であり、日本人全体の屈辱である。アメリカの属国となって、ふたたび中国・アジアと戦争するのは愚かなことであり、近隣諸国との友好連帯の関係を強めることこそ日本民族の誇りである。
 広島、長崎の被爆市民が、すべての戦争体験者とともに、その苦しみ、悲しみ、怒りを若い世代へ、世界へ語り伝えることは、世界平和への重要な使命である。それをはばからせるあらゆる要素は排除されなければならない。原爆投下は「戦争を終結させるため」ではなかった。原爆を投下し、沖縄戦や都市空襲で日本全土を焼き尽くしたのは、アメリカが日本を単独で占領支配するためであったことは、独立を踏みにじられた日本社会の現状が証明している。
 福島原発の大災害が引き起こされたが、地震列島に54基もの原子力発電所をつくらせたのは、まさに広島、長崎の被爆体験を抹殺してきた原爆投下者とそれに隷属した勢力であり、その残虐性の延長である。野田政府がアメリカのいいなりになって国民世論に耳を貸さず、原発事故の原因も究明されぬまま原発再稼働をし、消費税を増税し、TPP参加に突っ走ることは植民地的な隷属関係をあらわしている。
 戦後67年間原爆は使用されなかった。朝鮮戦争がぼっ発した1950年、広島から始まった原爆反対の運動はたちまちにして全世界に広がり、朝鮮戦争でもベトナム戦争でも原爆を使用させない力となった。この運動の原点に返り、被爆市民が本当の声を上げ、若い力を結集すること、社会の生産を担う労働者が世界平和のために役割を果たし、政党政派、思想信条をこえて国民的な規模の運動を全国津津浦浦におし広げ、世界の平和愛好者と団結し、あらゆる核兵器を廃絶させなければならない。
 「広島、長崎の惨禍をくり返してはならない」。被爆地の地下からの叫びにこたえ、新たな原水爆戦争に反対し、あらゆる原水爆の製造、貯蔵、使用の禁止を訴える。
 2012年6月
                                原水爆禁止全国実行委員会

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