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広島「原爆と戦争展」主催者会議 戦争阻止へ迫力増す取組 被爆地の声に全国的関心

 広島市東区の二葉公民館で19日、8月1日から6日まで広島県民文化センター(中区大手町)で開かれる第14回広島「原爆と戦争展」(主催/原爆展を成功させる広島の会など)の主催者会議がおこなわれた。被爆者、戦争遺族、被爆二世、労働者、学生など約30〇人が参加してこの間のとりくみの反響を交流。安保法案の強行採決に対する全国的な反対世論の盛り上がりに応え、被爆地から第二次世界大戦と被爆の真実を語り継ぎ、戦争阻止の巨大な世論をつくる大交流の場として成功させる意欲が語り合われた。
 
 体験者の思い受け継ぎ学生行動

 はじめに、広島の会の高橋匡・会長代行が、「先日、政府与党は議席数を掲げて安保関連法案を強行に議決した。国民の大多数が、そして知識人があれほど“憲法違反”だというにもかかわらず、しかもみずから“国民の理解を得られていない”と認めながら可決したことに憤りでいっぱいだ。70年目の8月を迎えるなかで、あの戦争と被爆の現状を後世に語り継ぐことを最大の使命とする私たちは、あくまでも本来の役割を徹底し、かつてない成果をもたらす八月にしたい」とのべた。
 つづいて、8月4日に『峠三吉・原爆展物語』の公演を準備している劇団はぐるま座の富田浩史氏は、町内会役員や商店主、大学生、高校生、主婦など原爆展参観者が公演実行委員会に参加し、安保法案の強行採決のなかで「黙っておれない」ととりくみに熱がこもっている様子を紹介し、「市内五つの児童館で被爆体験を語る会を予定しており、原爆と戦争展とともに公演を大成功させたい」とのべた。
 本紙記者は、国会周辺で盛り上がる抗議行動の様子を報告。「強行採決を前後して国会周辺には数万人の人たちが集まって抗議行動をくり広げており、採決後はさらに人数が膨らみ、熱気も高まっている。学者たちが、戦前大学が戦争に協力させられた深刻な経験を蘇らせ、“ふたたび学徒を戦場に送るな!”という教育者の使命を胸に、腹をくくって行動に立ち上がっている。学生たちも戦争体験者が“今が戦前とそっくりになっている”という言葉に敏感に反応して“戦地に行かされる世代として、未来の親になる世代としてじっとしておれない”と行動を始めている。そこで一番の基点であり、世代をこえた共通の土台になっているのが第二次世界大戦の体験だ。安倍政府がこれほど国民無視で暴走できるのは、背後でアメリカが操っているからだし、その関係は第二次大戦、原爆投下からずっと続いているんだとみんな感じている。そして、解釈の変更という姑息な手段でしか憲法を変えることのできない安倍政府の弱さに対して、圧倒的な国民の力を見せつけようという勢いが高まっている」とのべ、「8月6日に向けて、全国から行動を求める人人が広島を訪れる。広島の声を伝えるとともに原爆展を全国に広げ、戦争阻止の巨大な動きをつくり出していけるようにともに奮闘したい」とのべた。
 続いて、事務局がこの間のとりくみの概況を報告。被爆者、被爆二世、原爆遺族、戦争体験者に加え、町内会長、老人クラブ、医師会、寺院、保育園長、教師、さらに多くの大学生、院生、留学生、大学教員らが賛同者として名を連ね、賛同協力者は165人(18日現在)にのぼっており、そのうち20人の学生が平和公園での街頭展示や会場でのスタッフを担うことを明らかにした。
 すでにポスター1100枚、チラシ2万5000枚が市内で配布され、小中高校、幼稚園にも6万2000枚のチラシが配布されて参観が呼びかけられており、市民からは、安保法制強行可決によって武力行使に踏み込もうとする安倍政府への怒りとともに、肉親を殺されたなまなましい被爆、戦争体験が口口に語られていることを報告した。
 この間、連続的に学校での被爆体験を語ってきた婦人被爆者は、「子どもたちはみんな一生懸命に聞いてくれ、“原爆がこんなに悲惨だと知らなかった”“戦争は絶対に反対だ”と感想を語る。被爆でヤケドを負って戦後いじめられた弟の思いとあわせて、『原子雲の下より』に書かれている“ぼくの頭はハゲだ”や“イモばっかり食べさせて殺しちゃったね”という子どもたちの原爆詩を読んで聞かせるとみんな真剣に聞いてくれ、“ぼくたちはいじめはしない”という。小学生ですぐに“戦争反対”を行動にあらわせなくても、みんなで手をとりあって助けあう心が生まれている。中学校の女性教員は顔をぐちゃぐちゃにして泣かれていた。少しでも平和のために行動してもらえるように頑張りたい」と話した。
 原爆で父親を亡くした婦人は、「安保法案が採決されたことが悔しく、安倍首相をはじめ衆参両院の政治家に原爆展を見せることができないかと思う。戦争で親を亡くし、勉強もできず、食べ物はなく、母たちがどれだけ苦労して子どもを養ってくれたか。若い人たちに絶対に戦争はさせないという思いを伝えたい」と力を込めて語った。
 母と弟を失った婦人被爆者は、「70年目を迎えるなかで、各地の学校に出向いて証言活動をしてきたが、小学生とは思えないしっかりした感想文が返ってくる。原爆で殺された3歳の弟や子を残して亡くなった母親の思い、親を亡くした困難を踏み越え、乗り越え生きてきた戦後の苦労について大人顔負けの感想を書いている。この孫たち世代に、思いが伝わることがうれしいし、この子たちが兵隊にされ、また核の犠牲者にならぬよう力の限り頑張りたい」と強い決意を語った。
 同じく婦人被爆者は、先日、修学旅行に来た東京の女子校からの依頼で被爆体験を語ったとき、「安保法案の違憲性」や憲法九条についての質問があいついだことを語り、「かつての戦争も国民無視であり、物資や権利をすべて奪われて戦争に突き進んでいったことを語った。今も同じことが起きている。18歳から選挙権が与えられるが、“戦争と同じ判断をしないように”というと真剣にうなずいていた」と語った。
 スタッフとして参加する学生たちは、「“私たちにはもう後がない”という思いで語られる被爆体験に心を動かされた。生の体験を聞ける最後の世代といわれる私たちが伝えなければこの経験は継承されない。70年目の節目は若者が受け継いでいく大切な年にしたい」(男子学生)、「戦争によって市民生活がどれほど悲惨なものになったかという実体験に衝撃を受けた。街頭展示では全国や海外からも多くの人が訪れている。若い人に知らせていきたい」(女子学生)と抱負を語った。
 公務員の男性は「今年の8月は重大なとりくみになる。安保法案の強行採決のなかで学者、学生、市民の人人がすさまじい勢いで立ち上がり、それに励まされて既存の組織も活性化しているが、9月の国会期末までにどこまで世論を盛り上げられるかが勝負になる。子どもが通う小中学校、PTAでも被爆70年の行事が活性化しており、伝える機会を増やしていきたい」と意気込みをのべた。
 また、通訳業の女性は「強行採決への怒りが高まっているが、国際的な視点から見ても安倍政府の動きは戦後の日米関係に集約されると思う。アメリカは日本に平和憲法を認めながら、この70年間戦争をエスカレートさせ、軍需と金融のトップだけが富を独占し、すさまじい貧富の格差を生んでいる。安倍政府が無関心な若者を戦争へ誘導していくやり方は、下層の人人を経済難民にして軍へ誘導していくシステムをつくってきたアメリカの手法であり、軍需と金融だけが儲けていく関係もまったく同じだ。アメリカは種の滅亡につながる原爆を2発も日本に落とし、ふたたび日本を利用しようとしていることを強調しなければいけない。オバマも核廃絶を唱えながらいまだに一万数千発の核弾頭を保有しており、この気狂い沙汰に対して世界的な批判が高まっている。NHKなどは国会デモすら報道しない状況だが、このアメリカの戦争に誘導していく牙城を切り崩さないといけない」とのべ、通訳として外国人に伝えていく意気込みを語った。
 また、事務局には原発災害で避難中の福島県大熊町民や茨城県の労働者などから問い合わせとともにカンパが郵送されてきたり、ロシアや台湾から学生が集団で訪れる連絡が入っていることも報告され、「全国的な熱気が高まるなかで例年以上の盛り上がりが予想される。この問題意識に応えて大きな世論をつくり上げる大交流にしよう」と呼びかけられた。
 8月5日午後3時半からは県民文化センター5階で被爆者や学生による全国交流会、そして、6日午後1時からは大ホールで原水爆禁止広島集会が開催される。8月6日を頂点にした行事を確認し、大成功に導くことを誓い合って散会した。

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