いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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「一流の属国」の先進国偽装

 安倍晋三は再登板にあたって、アメリカのシンクタンクCSISでリチャード・アーミテージやジョセフ・ナイに向かって「私は戻ってきた!」「日本は二流国家にはならない」と民主党政府への皮肉を込めて演説していた。あのときの「二流ではない」は「一流なのだ」というアピールでもあった。菅直人や野田佳彦をはじめとした民主党の裏切りも確かにひどかった。しかし5年たってみると、自称一流のもとで、二流どころか三流以下ではないかと思うような統治の崩壊状況が露呈している。「民主党よりマシ」論など、既に「目くそ、鼻くそを笑う」の類いに思えて虚しい。それでもいじましく恋恋と権力ポストを握りしめている光景を、私たちはいつまでも見せられている。一刀両断するでもなく、木の枝か何かを振り回しているような野党の姿とともに--。

 

 目下、近代国家の土台たる憲政は愚弄され、国会は改ざん文書すなわち嘘を真顔で審議する場と化した。財務省は公文書の書き換えをやり、辻褄を合わせるためにゴミがあったことにしようと森友学園に口裏合わせを依頼していた疑惑まで発覚。厚労省は働き方改革とかかわって捏造データを国会に提出し、防衛省も南スーダンの日報問題に続いて、イラク派遣の日報も隠蔽していたことが発覚した。シビリアンコントロールなどどこ吹く風である。国会は嘘や隠蔽によってあしらわれ、与党も野党も鼻で笑われている。そして、文科省は前川喜平前事務次官の教育講演会について名古屋市教委に照会をかけるなど、前代未聞の現場介入である。経産省といえば、玄海原発は配管が腐っているにもかかわらず再稼働に踏み出し、7年ぶりに危険物を動かすにもかかわらず、綿密な調査や監督など実施していなかったことを浮き彫りにした。事故を起こしながら、佐賀県や自治体への連絡は、またも後回しである。地球儀俯瞰外交の担い手だったはずの外務省は、東アジア情勢の変化からとり残され、ただ頭越し外交を眺めている。それだけでなく、世界各国から認識を共有してもらえない大臣がおかしな発言をするものだから、他国から「足を引っ張るな」と叱られる有様だ。国交省になると、大阪の路上で機密文書入りの書類を盛大にばらまいて、秘密保護法って何だったの? 状態である。以上、最近の出来事をざっと見ただけでも、まるで漂流している難破船のように、舵は壊れ、統治機構全体がボロボロなのである。

 

 このような状態を「一流」の「美しい国」であるという者がいるのなら、その脳味噌はまことに異次元といわなければならない。右左とか好き嫌い以前に、まず脳味噌の容量から調べなければならないレベルの話だろう。そのように民主主義であるとか近代国家の常識であろうものが根本からぶっ壊れているのである。しかも、立ち戻る場所はどこかといわれて、戸惑ってしまうのも現実だ。日本社会がたどってきた道のりにおいて、いつの時代なら民主主義が貫かれた国民にとってすばらしい近代国家だったのかと聞かれても、自信を持って答えられる人間がどれだけいるのだろうか。

 

 絶対主義天皇制の残存物が、アメリカの属国であることに目を背け、長年にわたって一流偽装をしてきた末路が今日の漂流であるように思えてならない。3代目たるや、その程度があまりにもひどすぎて、みんなが言葉を失っているというのが現状だろう。過去を振り返った「あの時」に戻ろうではなく、今からまともな近代国家をつくらなければどうにもならない。「一流の属国」の先進国偽装みたいな状態は終わりにしなければならない。          武蔵坊五郎

 

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