いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

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経済活動再開と感染拡大のループ

 新型コロナウイルスの感染が首都圏を中心に再び拡大したことで、全国の地方都市でも連動するようにちらほらと感染者が出始めている。第一波と比較しても決して少なくない患者数について、「検査数を増やした結果、陽性患者の数が増大しているのだ」「重症患者は少ない」という説明もあるが、局面としては明らかに終息ではなく、誰もが恐れていた第二波の入り口か、あるいは第一波の延長線上での感染拡大が続いていることを意味する。Go Toで旅行熱を煽っている場合でないのは明らかだ。

 

 初期にPCR検査の抑制という世界的に見ても稀なる非科学的な隠蔽対応をしたことによって、第一波の規模を実は正確に把握できておらず、終息したかに見えたその瞬間も市中感染は拡大し続けていたというのが実態ではないだろうか。まず検査しなければ陽性か陰性かもわからない、つまり隔離等のためのふるい分けもできないのに、初期対応ときたらコロナ患者が少なかった下関の街でも発熱した人々はたらいまわしにされたり、何人もの人々が「PCR検査が受けられない…」と訴えていた。知り合いの医師たちも患者の様態を見たうえで、保健所に「検査を受けさせろ!」と要望するのに拒否されていたり、まるでコロナ防御というより検査防御のような対応があらわれていた。患者が診療に行く→医療機関→保健所→PCR検査という流れがスムーズに動くどころか、検査抑制→患者数抑制という力が強力に働いていたのが実態だ。東京五輪の延期が決まるまで、ふざけた検査抑制がやられたのである。

 

 かくして、疫病の実態が把握されぬまま、なんだか終息したかのような空気も一方では醸成され、学校は再開し、自粛も解除となるなど、今度はいっきに経済活動再開に舵を切ったことで再び感染増大に振り戻されている。それはまるで、政府補償をしたくないがための経済活動再開にも見えてならない。この間、補償なき自粛に各産業から悲鳴が上がり、社会全体が前代未聞の疫病禍にもがくなかで、なけなしの持続化給付金や1人10万円、アベノマスク2枚が配布されることとなったが、「疫病対策よりも東京五輪」に続いて、「疫病対策よりも経済」という選択をしたためにぶり返しているような光景なのだ。

 

 現在、世界的にコロナ感染者は1400万人を突破した状況のなかで、各国は徹底的な検査、隔離、治療をすることで封じ込めに力を注いでいる。しかし同時に、資本主義の矛盾でもあるが、堪えきれずに経済活動再開に踏み切るばかりに感染拡大を招くという無限ループに苛まれている。

 

 スペイン風邪は3年も猛威を振るった。今でこそインフルエンザの一種であることが判明したが、21世紀を襲う新型コロナはまだまだ科学的にも未解明な部分が多く、警戒しながらの日々は避けられない。そこで必要な対応は、コロナ禍の苦しみは患者当人に限らず、社会の全構成員に及ぶ以上、その暮らしを万全に保護するための国家としての補償である。前代未聞の事態には前代未聞の対応をしなければ、既に新自由主義に犯されてきた社会の崩壊に拍車をかけることにもなりかねない。要は国家はだれのために存在し、誰のためにカネを使うのかが問われている。

 

 総合病院であれ開業医であれ、つぶれかかっている医療機関への全面的な支援、自粛を強いられる企業への損失補償、職や住処を失った人々への補償など、必要とされる政策について様々な方面から声を上げ、社会存続のために実施させることが必要だ。自己責任や自助努力に委ねるというのでは、資本主義経済そのものの基盤も音を立てて崩壊するのが現実なのだ。武蔵坊五郎

 

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