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大西つねき&松尾匡・立命館大教授の対談 「なんとかならんか この日本」

 大阪市で4日、「なんとかならんかこの日本!?」と題して、れいわ新選組の大西つねき氏と松尾匡・立命館大学教授の対談がおこなわれた。会場には200人の定員をこえる参加者が集った。

 

 集会の趣旨説明をおこなった元衆議院議員の辻恵弁護士は、民主党が消費増税を決めたことにマニフェストの裏切りだと反対して離党したこと、「この30年、日本社会はアメリカ隷従の新自由主義でズタズタにされ二極分化の貧困社会に、与野党談合政治で“今だけ、金だけ、自分だけ”のモラル崩壊社会になった。この状態を放っておけない。そこに消費税廃止を掲げてれいわ新選組が登場した。れいわを軸に与野党談合政治を切り裂く政治勢力が連携し、人人の熱気を醸成する運動を展開し、政権交代を実現しよう。当時は覚悟がなかった私も退路を断って覚悟を決めてやりたい」と訴えた。

 

 初対面で同年齢だという大西氏と松尾氏の対談は、参加者に女性層が多いことをめぐって始まった。概要は以下の通り。

 

需要あるのに金回らぬ仕組

 

 大西 子どもを持つ女性たちの関心事は格差や貧困だけでなく、今までの経済活動をやっていては拙いのではないか、もっと持続可能な経済、持続可能な地球をという問題意識がある。金融システムが地球を壊している。子どもたちの未来を壊している。だから金融システムを変えないといけないということを私は話す。そこに女性は危機感を持っていて本質的なニーズがある。全然関心がないような主婦たちも自分たちの生活や子どもの未来のことになると感性に響く。れいわの選挙活動のボランティアも女性が多く、若い世代の女性だ。

 

 松尾 持続可能性とか地球環境の問題とかいってきた政党はこれまでもあったが、一方で財政危機を表に出して緊縮財政をいってきたので、貧しく苦しんでいる人たちには「では、俺たちの生活はどうしてくれるんだ」と受け入れられなかった。

 

 大西 環境団体は金融システムが環境を壊していることをいわない。お金の発行の仕組みを壊さないと何も解決しない。金の発行の仕組みを変えるといっている政党は日本のみならず世界にない。

 

 松尾 私もほとんど同じことをいっているが、リベラルから叩かれる。「安倍政権の手先」「資本主義を延命させる小手先の政策を広めている」「資本家をもうけさせて喜ばせている」と。本当は資本主義の根幹を変えるラジカルをいっているのに後から弾が飛んでくる。

 

 私がいっているのはお金のつくり方を変えようということ。お金は世の中の血液みたいなものだが、実は銀行が私的な利益のためにつくっている。水が民営化されるというと、私的利益のために民営化されるのはけしからんと怒る。それと同じことで現実は民営化されている。つまり企業が銀行から金を借りるとき銀行は企業の預金口座に一億円と書く。それが支払いや給与などで世の中に出回っていく。景気がいい時は貸そうとするから世の中にお金が出回る。お金を返したら世の中から金が消えるので景気は悪くなる、というように景気変動が起こる。

 

 そうではなく政府がお金をつくる。借金としてでなく政府がお金をつくって、世の中に必要な公共のために金を使う。人人のために金をバラまく。人人の暮らしの役に立つために金を使う。お金の使い方、投資を私的なためでなく社会化していくということで、資本主義社会の仕組みを根本的に変えるものだ。

 

 大西 お金は銀行が勝手につくり出している。銀行はみなさんから預かったお金を貸しているのではない。ないところから勝手につくって貸している。お金と借金を同時につくり出している。あるように見えるお金は誰かの借金だ。銀行は何もないところからお金と借金を同時につくって、お金の部分を誰かに貸して金利を取る。ないのにつくって金利を取る仕組み、これがおかしい。この仕組みをほとんどの人が知らない。

 

 利息が付くという仕組みは、お金の奪い合いになる。100万円を100人が預けると1億円が生まれる。それで経済を回して1年後に全額を返すとお金はなくなる。だが、5%の利息を付けると105万円返さないといけない。常に借金でお金をつくり出して、そこに利息がかかることによって年中みんながお金が足りない状態になる。お金のために奪い合いをやり続けないといけない。今の金融システムは巨大な椅子取りゲームだ。本末転倒なのだ。何でもいいからお金を使ってもらって捨てて(消費して)もらってというのをやり続けていかないといけない。金融システムが地球を壊しているし、「今だけ、金だけ、自分だけ」になる原因が金融システムにある。この仕組みを変えないといけない。一番大事な政治課題だが、いう政治家も政党もいない。れいわ新選組が出てきて、初めていい出した。

 

 財源論は一掃できる。財源がないからできないではなく、財源はできるから全部やらなければいけなくなる。そのさいの課題は、政府でつくったお金で何をやるのか。年金や教育など各分野で何をやるか、何を直すのか。制度設計だ。現場を熟知している人たち、俯瞰的な眼を持った人たちを集めて各分野の政策をつくっていく。こういう論議は国会中継よりおもしろいと思う。

 

 松尾 私たちが提唱している薔薇キャンペーンは、ヨーロッパで労働者階級の尊厳の象徴としての薔薇に「バラマキ」をかけている。もともとアメリカ建国史には、銀行が金をつくるか、国家が金を発行するか、金の発行権の奪いあいの闘争史があった。政府がお金を発行するというのは別に突飛な話ではない。すぐは政府発行通貨はハードルが高い。法改正もいる。アベノミクスで日銀が銀行の国債を引き受ける金融緩和もマクロ経済的には似たような面はある。

 

 大西 だが、錯乱している。金融緩和をしながら消費増税をする。これは矛盾だ。消費税減税するなら一貫しているが、消費税を増税して法人税を減税するというのは逆の付け回しで、格差を拡大してごく一部の株主のための政治をやっている。そもそも消費税は非人道的な税で、固いものと柔らかいものを一緒の袋に入れて混ぜるので、弱いものが潰れていく。現在の力関係がそのまま反映する税だ。

 

 松尾 使い道で政府支出を増やせばいいが、逆に抑制しているから、何をやっているんだという話だ。国債を買って金を出すにしても、何に使うかの問題だ。もっと政府支出を増やそう。武器を買うのでなく、国民生活に必要なところへ使おう。労働や社会保障分野にもっと金を使おうといっている。財源論はウソだ。もっとお金は使える。「輸出型経済から内需型経済へ」は前からいわれている。雇用をつくり出し、人人の生活が豊かになる持続可能な社会の構想を考えていく。

 

 大西 お金が富と思っているが、お金に価値はない。お金はただの紙切れ、数字でしかない。交換できる実体こそが価値だ。銀行が何もないところから借金でつくっているのだから、銀行でなく政府が借金する方がまだまし。借金では返すとなくなるから、借金せずに政府が金(数字)をつくってばらまけばいい。ばらまくと「お金がないから働けない」となっている介護産業にも金がいって多くの人が働ける。働くと富が生まれる。金がないから働けないというのは逆さまだ。

 

 何もしないのが一番のコストであって、お金を使うことがコストではない。お金を使うと人が動く、人が動くと価値が生まれる。本当のコストは人が動かないこと、時間も労力も使わないことだ。だから人が動かなくなる消費税はあってはいけない。上げるか下げるかではなく、ゼロが当たり前。国家経営の当たり前の考え方だが、それすら考えることができない人たちがこの国を動かしている。野党も同じだ。当面は困っている人に手を差し伸べながら、その先の国家ビジョン、例えばエネルギーや食糧の自給など日本の進む方向の話をしていきたい。私は3時間かけて話す。今日の話で消化不良ならば、10月9日18時から浪速区民ホールでも話をするので来てほしい。

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