いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

いかなる権威にも屈することのない人民の言論機関

文字サイズ
文字を通常サイズにする文字を大きいサイズにする

加害責任論の不思議

 広島では「軍都だから原爆を落とされた」「真珠湾攻撃や中国侵略など悪いことをしたから落とされた」ということが、山口県などからみたら不思議なほど浸透している。平和資料館も軍都だったところから展示がはじまり、秋葉市長は原爆で広島をメチャメチャに破壊したアメリカを、戦後復興の世話になったといってニューヨークに「希望のメッセージ」を届けるとかいい、アメリカとの「和解」をとなえている。この20~30年ほど、新聞もヤンヤと加害責任への反省をとなえ、「共産党」、社会党をはじめ民主陣営といわれる部分も加害責任を反省することが、学があって進歩的な人間であり、原爆を投下したアメリカの犯罪に怒ることが、なにか下等な人間であるかのような風潮がふりまかれてきた。


 だれもが知っているようにアメリカはいま、核兵器の先制使用を公然と準備し、そのミサイル構想に日本を下請で動員して、アジアと日本を原水爆戦争の火の海に投げこむたくらみをしている。かつての加害責任を反省せよという人人が、かつて侵略をして悪いことをした朝鮮、中国が名指しをされて原水爆戦争の標的になっているのに、アメリカとその尻馬に乗っている日本政府になんの文句もいわずに、「わたしたちは過ちはくり返しません」などといっているのは不思議な光景である。それは反省の気はなく、もういっぺんアジアへの恥ずべき加害者になろうとしているとしかいいようがない。


 アメリカは広島、長崎に原爆を投げつけたことを謝罪しないが、そのことが、もういっぺん原爆を使うなどと平気でいうことにつながっている。かつて日本軍国主義がアジア各国を侵略したことは大きな犯罪である。だからその日本に原爆を投下したアメリカはいいことをしたというわけにはいかない。アメリカは、戦後処理におけるソ連の影響をたって、日本を単独で占領し、また連合国を脅しつけ、戦後の世界を支配するという利己的な動機のためにあのような残虐行為を眉根一つ動かさずに実行したのである。それが証拠に、ただちに中国革命に干渉し、朝鮮戦争をひき起こし、ベトナム戦争、中東・湾岸戦争、いまではアフガン戦争と戦争につぐ戦争をくり返して、1000万人近い人人を殺してきた。要するに自分が戦争をつづけるために原爆を落としたわけである。


 さらに「かつての侵略への反省」をとなえるものが、現在のアメリカの日本への侵略に反省を求めないのも不思議なことである。原爆を投げつけられた日本が、見るも無惨な植民地従属国になり、またアメリカがアジア、世界を傍若無人に侵略支配していることに反省を求めない。すべての侵略に反省を求めるのでなく、アメリカがやることは侵略であれ人殺しであれ、なにをやっても「正義」というのが、この上品な格好をした加害責任反省論の核心である。このような半端な論は、要するにアメリカにゴマをすることでいいことがあるというのが本音であろう。


 この戦争放火者、殺人狂のアメリカを容認する加害責任論を、平和の看板をかけたところがいうのが今日の悲劇である。「原水爆禁止」をとなえて、アメリカの原水爆戦争を容認する「平和勢力」は戦争協力者といわなければならない。


那須三八郎

関連する記事

  • オルデンドルフが水を運べオルデンドルフが水を運べ  上水道の普及率が97%に達している水道先進国の日本社会では、全国どこでも水道の蛇口をひねると飲み水が出てくる。この当たり前の日常が奪われるの […]
  • 無謀な航海計画はなぜ黙認されたのか無謀な航海計画はなぜ黙認されたのか  周防大島町と大畠町をつなぐ大島大橋にマルタ船籍(ドイツ大手・オルデンドルフ所有)の巨大な貨物船が衝突して広域水道の送水管を破壊し、1万500 […]
  • 「ひと担ぎの水」を高齢者に「ひと担ぎの水」を高齢者に  全島断水によって1万5000人の暮らしが脅かされている周防大島町(面積138・1平方㌔㍍)。瀬戸内海で3番目に大きい島といわれても、行ったこ […]
  • 首都圏を自由に飛べない国首都圏を自由に飛べない国  東京五輪に向けて外国人観光客4000万人を受け入れる策として、羽田空港の国際便の発着便を増やし、新宿や渋谷といった東京都心の上空を通過す […]
  • 「日本を取り戻す!」→「日本を売り飛ばす!」「日本を取り戻す!」→「日本を売り飛ばす!」  先月末に開かれた日米首脳会談において、事実上の日米FTAにあたる貿易交渉に入ることを両国が共同声明で発表した。このなかで、いかにも「新たな貿 […]
Share on FacebookShare on Google+Tweet about this on TwitterEmail this to someone

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。なお、コメントは承認制です。