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補償なき自粛=放置の無責任

 7日の東京都の新型コロナウイルス新規感染者の数がついに2447人とこれまでよりも突き抜けたものになり、その他の都道府県でもとりわけ大都市を抱える地域で連日のように過去最多を記録するところが続出している。爆発的な感染拡大の入り口に足を踏み入れた状態で、ここからの封じ込めは少々でない困難を余儀なくされるのは疑いない。発熱などで自覚のある人々の検査及び濃厚接触者に限った検査だけでこの数なのだから、半数以上を占めるともいわれる無症状の感染者は、既に市中に山ほどいると捉えるのが自然だ。初期のようなクラスター追っかけによる局所囲い込みではどうにもならない段階に至っており、今後は無症状の感染者を選別するためのPCR検査拡大(頻度も保証する)に舵を切るほかない局面といえる。


 医師会や病院会の代表たち、あるいは治療にあたっている現場の医師たちが、医療崩壊に直面していることを切々とテレビ画面に向かって訴えている姿からは、その深刻さと同時に、政府がまるで機能していないことへのいらだちみたいなものが伝わってくる。PCR検査を拡充させたり、重症者を受け入れるための病床確保、中等症や軽症患者の隔離施設(オリンピック選手村を使ったっていいじゃないか)の確保、さらには感染拡大を抑え込むための社会的制限を伴う疫学的な対応など、昨年3月以後にポツポツと感染者が出始めてからの数カ月、国はいったい何をしていたのか? である。先手先手でやらなければならない事が結果としてすべて後手後手に回り、今や発熱しても病院をたらい回しにされたとか、隔離施設(ホテル療養)が不足しているために自宅療養になったが、容体が悪化して救急車を呼んだのに受け入れ病院がなく救急車が引き返していったとか、信じがたいような事例がいくつも報告されている有り様だ。


 政府としては今になって大慌てで首都圏の1都3県に限って緊急事態宣言を発出したものの、その中身を見てみると、飲食店に夜八時までの営業にするよう時短要請し、一店舗につき一日6万円を支給することや、違反した店舗については店名公表や罰則(罰金)を科すというもので、なんだか飲食店だけが狙い撃ちにされているような風である。この年末までGoToイートなどといってあれほど飲食を煽っていたくせに、年が明けるとてのひらを返したように「飲食が原因だ」といって、雀の涙ほどの「補償」でどうにかしろといっているのである。これでは「勝手に潰れろ」といっているのと変わらない。


 一日6万円の補償ではとても生活していけない飲食店にとっては死活問題で、補償なき時短・自粛に加えて、従わなければ罰金までとられるというのでは、どっちに転んでも拷問である。よその国がやっているように家賃・光熱費の全額補償やアルバイト店員にいたるまでの給料補償、売上の80~90%補償など、しっかりとした補償があって初めて休業なり時短に踏み切れるわけで、感染拡大を止めるために飲食店に辛抱してもらうなら、しっかりとばらまいて安心を担保したうえでなければ話にならない。飲食店に肉や魚、野菜、飲料などを納めている関連業種とて同じである。


 社会生活を制限はするが補償だけはしない――。だから人々は働かざるを得ないし、働こうにも職を失った人々の数だけでも8万人をこえ、この大寒波のなかで路頭に迷わなければならない。今必要なのは、影響を被っているすべての人が「安心」できる補償である。それが疫病禍を乗り越えるために不可欠で、さらに貧富の差にかかわりなくこの国で誰しもが生命をつないでいくために求められているのならば、社会にとっての必要経費として大胆に放出することが重要だ。


            吉田充春   

 

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