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米国ではインフルエンザで1万人が死亡 新型コロナよりもひどい感染拡大

 中国武漢から始まった新型コロナウイルスの感染拡大が騒がれる一方、米国ではインフルエンザが猛威をふるっている。発生源が未解明でワクチンのないコロナウイルスが世界の関心を集め、メディアの扇動的な報道を受けて使い捨てマスクが品切れになり、通常の数十倍にまで高騰するパニック現象をつくり出している滑稽さについて、ワクチンや治療薬がありながら毎年多数の犠牲者を出しているインフルエンザと比較し、科学的見地に立った冷静な対応を求める声が医療関係者から上がっている。

 

 米国疾病管理予防センター(CDC)は1月25日付けで米国内のインフルエンザ感染の推計値を発表した。今期(2019~2020年)のインフルエンザ感染者数の現在までの累計は1900万人以上に達し、入院患者数は18万人、死者は1万人(確定値8200人)にのぼっている。入院患者の内訳では、約60%がA型、39%がB型、残りがAとB両方、またはウイルス未確認となっている。

 

米国疾病管理予防センター(CDC)のインフルエンザ監視レポート

 米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)も今期のインフルエンザ感染の勢いは「過去10年で最悪級」と予想しており、これまでに少なくとも14万人がインフルエンザによる合併症のために入院したと発表している。

 

 検査で感染が確認されたインフルエンザによる入院を報告する「FluSurv―NET」によると、2019年10月1日~2020年1月25日のあいだに確認された入院率は人口10万人当り29・7人。最も入院率が高いのは65歳以上で、0~4歳、次いで50~64歳、18~49歳、5~17歳の順に高くなっている。

 

 米政府は新型コロナウイルス肺炎の拡大に対応して中国への渡航禁止を発令したが、すでに米国内ではインフルエンザ感染によってそれをこえる死者を出している。

 

 CDCによると、米国でのインフルエンザによる死者は年間少なくとも1万2000人にのぼる。「過去最悪」といわれた2017~2018年には、患者数は4500万人に達し、6万1000人が死亡した。同じく最悪といわれた2014~2015年と比べても今期のインフルエンザ感染拡大の勢いは強く、特に例年に比べてB型(人にしか感染しない)の流行が顕著といわれる。免疫のない幼い子どもの犠牲者数が増える傾向にあり、現在までに子どもの死亡者数は少なくとも64人(CDC)にのぼり、その3分の2以上がB型だった。

 

 単純に比較はできないものの、昨年末に中国武漢から始まった新型コロナウイルスによる肺炎は、2月3日時点で感染者は約2万人、うち重篤者は2296人、死者は400人。発生源や治療法が未解明であることが脅威ではあるものの、数万人規模にのぼる米国でのインフルエンザ犠牲者数には遠く及ばないのが実際だ。在米日本人は現在約44万7000人(外務省)おり、米国本土への日本人観光客も年間360万人(日本政府観光局)にのぼるが、政府による帰還措置や渡航制限などの対応もとられていない。

 

 ワクチン接種の遅れも 貧困も温床に

 

 新型コロナウイルスと違い、インフルエンザは治療薬やワクチンが毎年研究開発されている。世界100カ国以上100をこえる国立インフルエンザ研究所が、国内のインフルエンザの患者サンプルを検査したうえで、代表的なウイルスの情報を世界保健機関(WHO)指定のCDC(米国)、フランシス・クリック研究所(英国)、ビクトリア感染症研究所(豪州)、国立感染症研究所(日本)、国立ウイルス病制御予防研究所(中国)の5つの研究所に送る。WHOはこれらの研究所での検査結果から年2回、ワクチンの対象となる3~4種類のウイルスを推奨し、各国がそのなかから使用するウイルスを決定している。

 

 だがインフルエンザウイルスは常に変異しており、米国で今年流行しているインフルエンザB型は、採用したワクチンと完全に一致していなかったことが判明している。さらに予想よりも早く感染が拡大したことによってワクチン接種が遅れたことや、貧困世帯の拡大によって免疫力が後退しているうえに、国民皆保険制度がないため無保険者にとっては高額なワクチン接種ができないという社会的問題も背景にある。ワクチン自体も重篤化を防ぐうえで「相対的に効果がある」というものにすぎず、ウイルス感染拡大を制御しているとはいえないのが現状だ。

 

 WHOは、季節性インフルエンザの年間感染者数は世界で約10億人、死者は数十万人に及ぶと推計している。日本でも2018~2019年シーズンの推定患者数は累計約1210万人と厚生労働省が発表している。

 

 厚労省の報告では、2000年以降の国内のインフルエンザでの死亡者数は、年間214人(2001年)~1818人(2005年)と推移してきた。直接的および間接的にインフルエンザの流行によって生じた年間死亡者の推計値は、世界で約25万~50万人、日本では約1万人としている。

 

 現在のところ、新型コロナウイルス肺炎の死者は持病を持つ高齢者の合併症が多く、フィリピン(1人)を除いて中国(95%が武漢を含む湖北省)以外での死者はいない。日本でも感染ルートが確認されているため、感染症の世界では「チェーン(鎖)が追えている」状況と見られている。ウイルスの早期解明やワクチン開発、重篤者の発見と治療が急がれるのは当然だが「パンデミック」と呼ぶには時期尚早との見方が大勢だ。

 

 医療関係者からは「日本で普通に歩いている人には、新型コロナウイルスに感染するリスクよりもインフルエンザにかかって会社を休む可能性の方がはるかに高い。それでもMR(麻疹・風疹)と同じくワクチン接種率は低い」「日常的な生活習慣で免疫力を高め、手洗いやうがいなどのインフルエンザの予防対策をしていれば十分に防げる」「センセーショナルな報道に惑わされ、足元のリスクを忘れてはいけない」と冷静な対応を求める声も聞かれる。

 

 メディアの過剰反応のなかで、使い捨てマスク30枚が数千円で売買されるなどのビジネスが過熱し、日本では騒動に乗じて「改憲で緊急事態条項を」と主張する与党議員も出てくるなど、非科学的で冷静さを失った混乱を煽って、政治利用する動きも目に余るものとなっている。

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この記事へのコメント

  1. この記事で目からウロコです。コロナウイルスについて何か変だと、不審に思っておりましたら、やはりそうなのですね! 
     アメリカは、多くの国民がまともな医療に簡単にたどり着けないひどい状態に置かれていますから、感染症もすぐ広がるのですね。長周新聞さんの過去の記事で、アメリカの究極の貧困層(ホームレス)の様子を読みましたが、衛生状態が信じられないくらい劣悪ですから、単なるインフルエンザもすぐ死者が1万を越えたりするのでしょう。
     恐いと思うのは、アメリカの軍関係者は、ノーチェックで日本に入国できる特権があり、どんな感染症も持ち込めることです。日本はその意味でも早く完全独立しなくては。
     

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